相続人はいるが財産を引き取ってもらえない場合

成年被後見人等が死亡した場合,成年後見人等は法定相続人の調査を行い,相続人に管理財産を引渡すことで職務を完了します。
しかし,相続人であるにも関わらず財産の受取を拒否する方もおられ,いつまでも成年後見人等が業務を完了できない,という場面も珍しくありません。

実務上の工夫

成年後見人等はこのようなケースに苦慮しているところであり,その都度,家庭裁判所と協議を重ねながらケースバイケースで対応している,というのが現状です。

相続財産管理人の活用(※私見)

令和5年4月1日施行の改正民法897条の2により,新たに相続財産保存のための相続財産管理制度が創設されました。
この制度の利用により,法定相続人が存在する場合であっても,相続人が誰も相続財産の管理を行わない場合においては,元成年後見人等が相続財産管理人を選任して管理財産を引渡すことで後見事務を終了することができる場面がでてくるのでは…?と個人的に期待しています。

まだまだ実例に乏しいため,実際のケースを待ちたいところです。