成年後見制度について

成年後見制度とは

成年者のうち,病気や障がいなどの理由により判断能力が低下してしまった方のため,成年後見人等を選任し,専属でサポートする制度です。
未成年者で親権者がいない場合については,未成年後見制度という別の制度によることになります。

利用できる場面

「精神上の障害」(民法7条ほか)を理由として判断能力が低下された方が対象です。
「精神上の障害」に該当するのであれば,原因(事故,病気など)は問いません。
判断能力に問題がない方の場合,たとえ身体的な障がいをお持ちであったとしても,成年後見制度を利用することはできません。

利用する目的

本人の残された能力をできる限り活用しながら,本人の自己実現を目指して支援を行なっていくことが目的です。
あくまで本人を支援することを目的とする制度であり,第三者の都合のために本人を管理したりコントロールすることを目的とするものではありません。

成年後見制度の種類

成年後見制度には次のような分類があります。

  • 法定後見制度…家庭裁判所の審判により開始・選任
    • 成年後見…最も判断能力の低下の程度が重い類型
    • 保佐…判断能力の低下の程度が中程度の類型
    • 補助…最も判断能力の低下の程度が軽い類型
      ※成年後見,保佐,補助をまとめて「後見等」と呼ぶことが多いです
  • 任意後見制度…公正証書により契約を締結,監督人の選任により発効
    • 任意後見…「判断能力が不十分な状況」において発効予定

後見人等ができること

後見人等は,本人の法律上の権限を代理行使すること等により,法律事務を通して,本人の意思決定や生活環境の整備,財産の管理などを行います。
後見人等は,あくまで法律事務(契約によるサービスの利用など)を通じた支援を行うのであり,事実行為(生活のお世話や介助,車に乗せて移動するなど)を直接行うわけではありません。

専門職が後見人等に選任された場合はこのあたりの線引きが明確になりやすいですが,親族が後見人等に選任された場合は,親族としての関わりと後見人等としての関わりが混在するため区別がつきにくい傾向にあります。

成年後見制度が終了する時期

法定後見の場合は,家庭裁判所の審判の確定により開始し,本人の能力が回復するか死亡することにより終了します。
任意後見の場合は,契約締結後に契約者の判断能力が不十分な状況となり,家庭裁判所により任意後見監督人が選任されることで開始し,本人の死亡により任意後見契約が終了します。